石環町の繁華街は、突然の地響きに騒然となった。街行く人々は足を止め、交通機関はその原因に足止めを喰らう。 下校途中のお子達は、二十メートルクラスの移動する物体を見かけ、人ごみを掻き分けた。 「悪太のやろー」 「早くドランたちに連絡だ!」 「すいません、ごめんなさい!」 「うえ〜〜〜?!」 そして、予想を遥かに越えたその物体に顎を外した。 「なんなんだ、コイツは・・・・」 それは巨大なバスケットを抱え、ハートマークのアップリケをつけたエプロンドレス着用の、二足歩行のピンクの巨大なウサギだった。左の耳には赤いリボン、首にはハートのチョーカーをつけてる。 あっけにとられるタクヤたちに向かって、巨大なピンクのウサギは手を振った。 「ハア〜イv」 うっかり視線を合わせてしまい、つられて手を振る。 「はあ〜い・・・・」 呆然としたまま、カズキは残っている理性をかき集めて声を出した。 「おい、知ってるか・・・・?」 「いや・・・・悪太じゃないみたいだけど」 「右に同じ」 目を点にしたタクヤとダイも、それだけを言うのが精一杯だ。すると、チョーカーが左右に割れ、中からコックピットシートが出てきた。 「わたしよ、わたし」 「シャランラ!」 「うふふふふ・・・・」 目当ての人物たちが見つかり、シャランラは満足そうに微笑んだ。 街中で立ち話をするわけにもいかず、ドランたちのようにメディアや人々の意識から消えるということもできないので、とりあえずお子達はシャランラをギアごと隠れ家のタンカーまで連れてきた。と、言ってもドランたちと一緒ではない。外で話したいとシャランラが言ったので、タンカーを支えている崖の上、雑木林の中にウサギ型ギア、ウサリンMK‐Uを隠した。耳がまだ少し木の上から顔を覗かせている。 「ほんっとに日本って面倒な国ね。やれパスポートだ、やれ免許証だって。せっかくこのわたしがお忍びで来たっていうのに」 「このでっかいロボットのどこがお忍びなんだよ」 タクヤが遠慮なくウサリンを拳で叩く。そもそも空港にこのウサギで乗りつけたのかと思うと背筋が寒い。 ギアはワルザック共和帝国で使用するにも軍で専用の免許を取得しなければいけないし、製作は全て軍の工場で行うので、おいそれと発注することなどできないのだが、そこはシャランラ。初めてのギアを完全に自分の設計で造らせた。 「イヤ〜ン、かわゆいでしょ? 思わず食べちゃいたいくらい。まるでわたしみたーい」 「・・・・・」 激しく脱力した三人だが、カズキが素早く立直った。 「で? 俺たちに一体何の用なんだ?」 シャランラは待ってましたとばかりに、ためを置いて叫んだ。 「実はわたし、結婚するの〜〜〜〜〜!!」 「えーーーーっ?! ケッコンーーーー?!」 辺りに何故か美ヶ原高原アモーレの鐘が鳴り響く。 「ああ、愛しい愛しいワルター様・・・・シャランラは、シャランラは・・・・あなたの元に参りますぅ〜〜〜〜v」 「・・・・・・で? あの悪太が結婚に『うん』って言ったのか?」 大分間を置いて、カズキが訪ねる。心臓の強さがタクヤの方が上だが、女の子が絡むとカズキの方に分があがる。 「あの人は、素直じゃないんですもの。わたしのこと、愛してるくせに」 妄想の世界には入れない(入りたくない)タクヤが、ようやっと声を絞り出す。 「あ、そう。よかったね・・・・」 声のニュアンスは気にせず、シャランラは「よかったね」という言葉だけを受け止めた。 「だからいっそ、ワルター様と既成事実を作っちゃおうと思ってぇ」 「「「既成事実〜〜〜〜?!」」」 それはすなわち子供をつくる行為。小学校の高学年では、先日保健体育の授業でならったばかりだ。三人は一斉に顔を赤くした。 「あなたたち、協力してくれるでしょ?」 右手の人差し指を、傾げた頬に当てるシャランラの仕草は、口から飛び出る過激な言葉とは裏腹に、なんとも言えず可愛らしい。タクヤはその外見に見入ることもできずに、モゴモゴと口を動かしてカズキを横目で見た。彼もまた、顔を赤くしたまま額を掻いた。 「きょ、協力って言われても・・・・なあ?」 「お、俺たち、まだ、小学生だし・・・・」 「パパとママに相談してみないと・・・・」 ダイ君、怒られます。 「んもう! 協力してくれないの? わたしたちの結婚式!」 「結婚式!」 三人は胸を撫で下ろした。 「はあ〜、何言い出すのかと思ったぜ」 「良かった・・・・」 「でも、何で俺たちがおまえの結婚式なんかに!」 「そーだ! 協力する義理はないぞ!」 ダイも何度も深く頷く。 「あら、それはどうかしら?」 シャランラは余裕たっぷりの表情でそういうと、赤いハートのリストウオッチを見た。 「三十秒前」 「?」 こちらはワルザック共和帝国日本大使館。主を欠いた執務室では、カーネルが親衛隊員から報告を受け取っていた。 「報道管制、完了しました」 「ご苦労」 サービスユニフォームをぴしりと着込んだ親衛隊員は、一礼して退出する。気配が遠のくと、カーネルは深い溜息を吐いた。 「まったく、シャランラ様にも困ったものだ。いくらワルター様に会いたいとはいえ、騒ぎがこの大使館に及ぶようなことになれば・・・・」 窓際から閃光が飛び込む。 「? なんだ?! どわーーーーっ!!」 爆発によってできたキノコ雲は、数十キロメートル離れた石環海岸からも、はっきりと見ることができた。 「ボーゼン・・・・」 シャランラはつまらなさそうな声を出した。 「あら、以外に小さい爆発ね」 タクヤたちは一生懸命首を横に振った。 「ゆーこときかないと、今度はこんなもんじゃすまないわよ! いいわね?」 『誘拐?! 私たちに悪太を誘拐しろと?!』 ドランが素っ頓狂な声をあげる。シャランラの帰ったあと、精神的疲労の強い体を引きずってタクヤたちは崖下のタンカーに潜り込んだ。 「誘拐じゃないよ、仲人だよ、仲人!」 慌ててタクヤが言い換える。ダイは自分たちのメリットを言い添えた。 「もし二人がゴールインできたら、悪太にパワーストーンから手を引かせるって、シャランラが約束したんだ」 『成る程。政略結婚というものだな?』 パワーストーンという言葉に反応し、少し機嫌の直ったドランは、この間主と共に再放送を見た幕末の大河ドラマで得た知識を引っ張り出した。 「おまえね、どーしてそう人聞きの悪い言い方するの」 「とにかく、今シャランラを怒らせるのは得策じゃないんだ」 『くだらん!』 「え? 空影!」 突如聞こえた声に、お子達は見えないはずの天井の向こうを見上げた。鳥形の空影が、アドベンジャーの煙突の上で突き放すように言う。 『我々はそんなことをするために甦ったのではないはず。例え主の命令とはいえ、今回ばかりはごめんつかまつる!』 人型になって霞と消えるような空影に、アドベンジャーの批難の声は届かなかった。 再びワルザック共和帝国日本大使館。本来ならばうららかな休日となるはずだが、爆発の痛々しい名残が気の緩みを奪い去っていた。優秀なスタッフたちのおかげで、どうにか大使館が機能するだけの復旧作業が終わったと安堵したカーネルを、緊急サイレンが襲う。怪我した体に鞭打って、慌てて地下のコンピュータールームに向かった。 「何事だ?」 「先程の爆発のショックで、攻撃プログラムZが誤作動してしまいました!」 「攻撃プログラムZだと?! すぐに中止命令を!」 攻撃プログラムZは、衛星軌道上を周回する巨大なミサイルを発射する、報復用の最終兵器だ。その質量も爆発も核兵器数十発の比ではない。死なば諸共の、本当に本当の最終兵器だった。 「それが・・・メインコンピューターがアクセスを拒否しているのです!」 コンソールを必死に叩き、別の親衛隊員が悲鳴をあげる。 「最終兵器発射までの時間は?!」 「五時間後・・・・です。もし最終兵器が発射されれば、直接の被害に加え、地球規模の気候変化で、世界は壊滅状態に・・・・!」 地球の衛星軌道上では、最終兵器の蓋が開いた。時計の針が動き出す。 「すぐに若君に連絡を!」 ワルターは海が好きだ。何処から何処までも。何のしがらみも要求しない水平線を眺めるのも、ヨットで風を感じるのも、ただのんびりと波間にたゆたうのも。 東京の近くには、幸い日本でも有数のマリンスポーツの盛んな所がある。夏にはまだ少し早いが、多くの人々が海辺の余暇を楽しんでいる。ワルターは久しぶりの休日に、ヨットを駆っていた。そんな折だ。 「最終兵器が?」 「システム回復にあたっておりますが、最悪の場合、直接最終兵器にアクセスできるのは若君ただお一人!」 万が一の時の為にいつも持たされているブレスレットの形をした画像通信機は、同時にワルターの無事と居場所を知らせる発信機にもなっている。今は小さな画面の向こうでカーネルが血相を変えて、大使館、ひいては全世界の危機を訴えていた。 「安心しろ、爺。後一時間でそちらに戻る」 強い波の音がした。 「お?」 突如目の前の波が盛り上がり、更にばっくりと割れた。滝のように落ちる海水よりも大きく聞こえたのは魔獣の嘶き。 「ぎょえ〜〜〜〜〜〜?!」 カーネルの眼前のモニターがぷつりと切れた。 「わ、若君! いかがなされました?! 若ーーーーーっ!!」 その光景を目撃した人々は、確かに空飛ぶSLを見たのだが、すぐに忘れてしまった。 「ご苦労、ドラン」 アドベンジャーのソファには、気を失ったワルターが寝かされている。ゴルゴンを使ってヨットの上のワルターを襲わせたのである。 「確かに、ヒーローのすることじゃないね・・・・」 「まあ、な・・・・」 流石にタクヤもバツの悪そうな表情をした。 「う、うん・・・・あ・・・・ここは一体・・・・?」 手足に感じる圧迫感、不自由感に促され、ワルターは目を覚ました。暗がりの中、薄暗い中で足と手を見れば、事務用のキャスター付きの椅子に座らせられ、縛られている。そしてさっきまで海にいたはずなのに、ラフな服装をしていないようだった。アイロンの効いた襟が首筋をくすぐる。誰かが着替えさせたらしい。 「なんだ、この服は?」 パッと灯りが燈り、同時にパイプオルガンが荘厳な結婚行進曲を奏でる。 「・・・・はっ! ここは・・・・」 オルガンのパイプを遡れば、そこには十字架と聖人を描いたステンドグラス。 「教会ーーーーー?!」 人を探した。誰か話のできる人を。オルガンの奏者の向こうから背の低い、赤い服を着込んだ神父が出てきた。見覚えがある。よくよく見たらオルガンの奏者はカズキではないか。 「お、お子達・・・・」 「アーナタは神を信じマースカー?」 笑みを必死に耐えるようにエセ外人喋りをするタクヤに、ワルターは怒鳴った。 「さっさとロープを解け! 私を自由にしろ!」 「アッハ〜ン、ワタシ日本語少シネー」 「ふざけるなーー!! ここは何処だ?!」 タクヤは言われて初めて気づいたとでもいうように、大仰に声をあげる。 「Oh! ここはスウィートハネムーン島でぇ〜す!」 「スイートハネムーン島?」 聞いたことのない島である。上から見るとハートの形をしていて、島内には大きな屋敷と教会があるだけなのだが、当然ワルターは島の外見も位置も、そして島の持ち主も知らない。 「Yes〜! 今日はアナタ、結婚式デ〜ス!」 「へ? ・・・・・ケッコンシキーーーーー!!」 絶叫に導かれるように教会の扉が開く。ヴァージンロードを静々と進む二人の影にワルターの顔色が悪くなった。 「いっ・・・・しゃ、シャランラ・・・・ちょ、ちょ、ちょっと待ってよお〜〜!」 純白のウエディングドレスに身を包んだ、一見清楚可憐なシャランラが、ダイを父親役としてワルターの側にやってきた。タクヤがワルターの椅子を回転させ、祭壇に向かわせる。何故ただ縛るだけのことをしなかったのかこれで合点がいった。 「おっほん! これより、結婚の儀を執り行いマース!」 タクヤの声を合図に、カズキは演奏を止めた。しかし、カズキにも意外な特技があったものである。 「あ、ああ・・・・」 ワルターが絶望に浸っている間、ダイは役に没頭しやすいのか、すっかり花嫁の父親気分で、ハンカチで目元を拭っている。 「汝悪太は、シャランラを妻とし、病める時も健やかナル時も、生涯愛することを誓いマスカ〜?」 「ば、バカな! 誰がこんな・・・・もがっ!」 タクヤは動けぬワルターの口に聖書を突っ込んだ。 「あ、あぐ・・・・」 「よーろしい。汝シャランラは、悪太を夫とし、生涯愛することを誓いますカ〜?」 「誓います」 厳かにシャランラが言葉を発する。 「この結婚に異議のある者は?」 「あが、んがー! あ、あ・・・・」 異議はありまくりなのだが、今のワルターには抗う術は何一つ無い。 「では、新婦のアツ〜イキスを以って、結婚の証とシマース!」 「っぐっ、う・・・・」 苦労して聖書を吐き出すと、目の前には目をキラキラとさせたシャランラが、期待に満ちた笑みを浮かべていた。 「ワルター様・・・・v」 「うわーーーーー!!」 反射的に背けたワルターの顔を、シャランラはしっかりと両手で押さえ込み、恐るべき腕力で自分の方に向けさせる。 「さあ」 キャンディピンクのルージュを塗った唇が、ステンドグラスの光を受けて艶っぽく輝いた。 「早く、愛の口付けをーーーーーっ!」 ワルターの中で恐怖が最大限に弾けた。 「イヤだーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」 火事場の馬鹿力が発揮され、足を縛ってあったロープを引きちぎる。全身の力で床を蹴ると、シャランラは不本意なワルツを踊って床に倒れた。 「あん!」 「うわーーー!」 そのままワルターは、開きっぱなしだった扉から、事務椅子に手を縛られたまま全速力で逃げ出した。 「ああっ!」 「ワルター様?!」 慌ててタクヤはゴルドシーバーを取り出した。 「ドラン、悪太が逃げた!」 『心得た!』 ワルターは逃げた。ひたすら逃げた。森の中をただひたすら。不自由な足で。 「であーーーーー! うおおおおおお!!」 茂みから飛び出した金色の車が、行く手を阻む。 『チェーンジ!』 ドランだ。 「うわーーー?!」 慌ててワルターは逃げ道を探した。すぐに斜め後ろに向かって走り出す。 『あっ!』 「うーおー!」 『待ちなさい!』 だが、そこにはジェットシルバーがスピアを構え、 「うひゃーーー?!」 『待ちやがれ!』 再び方向転換をすればスターシルバーが、 「うう・・・ひーーーっ! どっしぇ〜〜〜?!」 『待つであります!』 残りの道を走ればドリルシルバーが地面から顔を出す。 「ぬううう・・・」 誰も立ち塞がらない道を求めて走れば、そこは断崖絶壁だった。 「わーーーっ?!」 辛うじてあと三十センチメートルのところでブレーキをかけることができた。 「はあ・・・・」 「悪太!」 「いえっ?!」 安堵の吐息を吐く間もなく、慣れない服を脱ぎ捨てたお子達に背後を取られる。 「この島からは逃げられないぞ!」 「おとなしく教会に戻るんだ!」 「何故だ! 何故あの女の!」 「僕たち、シャランラに脅迫されてるんだ」 ワルターの認識の中でも大人しいはずのダイの声が、妙に弾んでいる。 「オーイラだってよー、なーにも好きでこんなコトやってるわけじゃなーいんだぜ〜」 必死に手で口元を抑えているが、声まで平静を装えないタクヤを、ワルターは睨みつけた。 「ウソをつけ! おまえが一番楽しんでおるではないか!」 図星を指されたタクヤは拳を振り回した。 「うるせえ! とっととシャランラと結婚しちまえっ!」 「イヤだ! 例え世界が破滅しようとも、絶対に・・・・っ」 『世界の破滅』。自分で口にした言葉に、ワルターは急速にここに来る前のことを思い出した。 「いかん、このままでは本当に世界が破滅する」 「オーバーな奴だな」 「嘘ではない! 今すぐ私を・・・・」 「ワルター様〜〜〜v」 「ひいっ!」 甘ったるい声が説明をするチャンスを容赦なく切り捨てた。 「どうぞ、シャランラの熱い口付けをーーーーーーっ!!!」 迫り来る恐怖に、ワルターは叫んだ。 「うわ、シャランラ、あっち行けーーーーーっ!!!」 「うん、もうv ワルター様ったら本当にシャイなんだからあんv」 照れ隠しのあまり、シャランラはワルターを突き飛ばした。平時のように全力で。 「へ? わあーーーーー!!」 どっぼーーん! ワルターは海に落ちた。二十メートル下の。 「帰って! みんな帰って! わたしのワルター様をこんな酷い目に・・・・。早く帰って!」 スイートハネムーン島にある屋敷からシャランラの叫びが聞こえる。教会と同じく、シャランラが愛の巣にしようと建てたのだ。崖下にぷっかり浮いてきたワルターを救出し、あまつさえ手当てまで手伝ったというのに、シャランラはベッドの上でミイラ男にされたワルターに伏せってお子達をなじった。 「なんだと、シャランラ!」 騒ぎ声に、ようやくワルターは意識を取り戻し始めた。 「うう・・・・」 「お気づきになりました? ワルター様v」 微かなうめき声を余さず聞き取り、シャランラはワルターに向き直る。タクヤは腕を頭の後ろで組んで回れ右をした。 「あーあ、バカバカし。帰ろーぜ」 「じゃーな、悪太」 「シャランラとお幸せに」 一人お辞儀をしたダイが、最後に扉を丁寧に閉めた。ギイ・・・という音に、ワルターの朦朧としていた意識が急速に現実を認識する。 「ま、待てお子達! 頼む、私を一人にしないでくれ・・・・」 ギブスをはめた不自由な右腕が空しく虚空を泳ぐ。その腕を取ってシャランラは頬ずりした。 「一人だなんて。シャランラがついておりますわv」 「違う! このままでは世界が・・・・世界が破滅するーーーーーっ!」 「最終兵器発射まで、あと百八十分」 「まだ若君の行方は掴めんのか?」 「はっ、残念ながら・・・・」 親衛隊員たちは一縷の望みをかけ、ワルターの探索とプログラムへのハッキングを試みていた。スクリーンの中の数字は、刻々と減っていっている。カーネルは拳を握り締めて歯噛みした。 「こ、このままでは世界が滅亡してしまう・・・・・」 ワルターの行方を探っていた親衛隊員が、手元のディスプレイから顔をあげた。 「カーネル様」 「ん?」 「ワルター様の最後の映像に、何かが映っています」 すぐにカーネルに見えるよう、正面のスクリーンの表示が切り替わる。 『一時間でそちらに戻る・・・・ぎょえ〜〜〜〜?!』 「ここです!」 驚いたワルターが腕を振り回したのか、そこには一瞬だけ、金色の魔獣が映っていた。 「これはっ・・・・ゴルゴン!」 石環町に戻ったタクヤたちは、少し機嫌を直して図書館に向かっていた。 「まー、とにかくシャランラの期待には応えたんだし」 「これからは悪太に邪魔されないで」 「安心してパワーストーン探しができるってわけだ」 「そーゆーこと!」 気分が盛り上がってきたところ、突如住宅地の路地の出入り口を、白い正装をした男達が塞いだ。 「?!」 全員オールバックにサングラス、拳銃をお子達に向けている。そして明らかに敵意があった。 「な、何だ、おまえらは・・・・?」 人垣を割って現れたのは見知ったカーネル。そこでタクヤたちは、彼らが服装を変えたワルターの親衛隊員たちだと思い出した。 「少しお話がありまして・・・・よろしいですかな?」 「うっ・・・・・」 押し込められたリムジンでたどり着いたのは『ワルザック共和帝国日本大使館』だった。「『ワルザック共和帝国日本大使館』? なんだってこんなところに・・・・」 「今更隠しても始まらぬから教えましょう。実は若君は、ワルザック共和帝国の皇太子殿下であらせられる」 「「「皇太子?!」」」 普段から新聞やニュースなどほとんど見ないタクヤは少し首を傾げただけだが、カズキやダイはびっくりした。 「そして私はワルザック家の執事を務めるカーネル・サングロスですじゃ」 カーネルは腹を括って、ワルターと自分の身分を明かした。 「でも、なんだって皇太子が頻繁に日本に・・・・」 「若君は同時にワルザック大使でもあらせられる。大変に忙しい方なのだ。その合間を更に縫ってパワーストーンを探し・・・・くうっ・・・・!」 男泣きをし始めたカーネルを、タクヤが突付く。 「じーさん、じーさん」 「はっ・・・・! そうじゃ、このままでは最終兵器が」 「「「最終兵器?!」」」 そのままカーネルは地下のコンピュータールームに案内してくれた。親衛隊員たちが必死に演算を行い、メインコンピューターにアクセスを試みている。巨大なメインスクリーンには、別の人工軌道衛星から送られてきた映像で、発射体制に入っている最終兵器の姿を映し出していた。 「発射まではあと二時間余り。その時は間違いなく、世界は破滅する!」 「そういえば、悪太もそんなことを・・・・」 「そいつを止める方法は?」 「『納豆アイスストロベリー味』」 「『納豆アイスストロベリー味』〜〜〜〜?!」 「若君の大好物じゃ」 一気に胸の辺りが悪くなる。 「おえ〜。気色悪ィ〜〜」 「この暗号コードで最終兵器は停止する」 「だったら何も問題は・・・・」 「最終兵器は若君の声しか受けつけんのじゃ」 「えーーーっ?! 悪太の?!」 「おまえたちが若君を誘拐したのはわかっておる! 何処じゃ?! 若君を何処へ?!」 「あ、あ・・・う・・・・・」 タクヤたちは顔を見合わせ、渋々シャランラの悪行を暴露した。 「わからんのか?! このままでは最終兵器で世界が終わるのだ!」 ワルターはシャランラの別荘で、孤軍奮闘していた。 「ま〜ステキ。この世の最後をワルター様とご一緒できるなんて・・・・シャランラ幸せv」 が、シャランラは事の重大さをてんで理解していない。ワルターは更に絶望に襲われた。 「ああ・・・・どう言えばわかるのだ・・・・」 「そんな難しい話は後にして・・・・お薬の時間ですよv」 「いらん! 世界が破滅する時に薬など無用だ!」 「そんなこと言ってはいけませんわ。 では、シャランラが口移しで」 シャランラは薬と水を口に含むと、ワルターの頬に手をかけた。 「いっ?! あ、やめろっ!」 そのまま怪力でワルターの顔を自分の方に向かせる。 「ん〜〜〜〜〜〜v」 「やめろシャランラ私が悪かった謝る降参だ」 顔を仰け反らせて必死に逃れるワルターに、チェリーピンクの唇が迫る。 腹に響くようなエンジン音がした。音に反応して、うっかりシャランラは薬を飲んでしまった。 「しゃら!」 誰の邪魔も入らないように、航空会社の路線や軍の演習コースなども調べたのだが、それは明らかに航空系のエンジン音だ。慌てて窓に駆け寄る。 「一体何事ですの?」 空には、島を覆い尽くさんばかりのカスタムギアが、デスギャリガンを中心に展開されていた。 「どーしてここがー? かくなる上は!」 すぐにキっと表情を引き締めると、シャランラは部屋から駆け出した。 「はー・・・・」 ワルターは危機を逃れた一瞬の安らぎに、大きく息を吐き出した。 「目標発見! これより作戦に入る」 デスギャリガンからのコマンドで、カスタムギアの構える巨大なサブマシンガンのロックが解除される。屋敷の前庭が開き、地下からウサリンMK‐Uが出撃した。ちなみにコックピットの内装はピンクと赤のハートで埋め尽くされていて、各ボタンやモニターの形状、シートの背もたれなどに至るまで、すべてがハートだった。 波打ち際にその異様な姿が降り立つ。 「誰に許しを得てやってきたのです? ここはわたしとワルター様の愛の島。邪魔する者は・・・・許さなくってよ!」 ウサリンの持つバスケットの布が取り払われる。中から自動追跡攻撃ユニットのキャロビットが、一斉に発射された。 ワルターは不自由な体を必死に動かし、ドアまで絨毯の上を這っていた。 「っと、・・・・く・・・・う・・・・はあ、はあ・・・・ようっし・・・・」 息も絶え絶えながら健気に腕を伸ばそうと、ノブを見上げると、 『鍵はかけさせていただきましたワ。 愛しいワルター様へ シャランラよりv』 という無残な伝言がかけられていた。 「いいっ?! ・・・・・〜〜〜〜〜〜なんでもう・・・・っ!」 「ふっと!」 血の涙を流すワルターの背後に、ここから立ち去ったはずの人影が降り立った。 「いよっ、悪太! 脱出するぜ。ぐずぐずすんな!」 「お、お子達!」 サムズアップするタクヤに、ワルターは満面喜色になる。が、すぐに外見を取り繕った。 「お、おっほん! ん、んー。仕方あるまい。ここは助けられてやるとしよう」 ワルターの体にタクヤたちがここまで登ってきた時に使ったロープを巻きつけ、三人がかりでワルターを三階の窓から下ろし始めた。三階と言っても、一つ一つの階が大きく取られているため、実際のビルで見ると五階ぐらいに相当する。シャランラに見つからないよう、できるだけ早く下ろしているから、当然作業は雑になる。 「うわーーー! イタタタタ・・・・もっと丁寧に下ろせんのか!」 高所から吊り下ろされ、包帯の上から重なる痛みにワルターは怒鳴った。 「あんのヤロー、いい気になりやがって!」 「地球の運命さえかかってなけりゃ、このロープを離してやるところだ!」 ダイは慌ててロープを握る手に力を加え、一人でもワルターを支えようと勤めた。 「まあまあ、抑えて抑えて・・・・」 キャロビットの追尾システムは、それぞれが意思のあるかのようにカスタムギアの攻撃を避け、ある時は個別に、ある時は連携をなして次々とカスタムギアを攻撃し、ついには全滅させた。デスギャリガンが回頭し、去っていく。 「おとといきやがれ〜ですわ」 満足そうに微笑むシャランラの耳に、緊急を告げる電子音が届く。それは屋敷に仕掛けてきた警報装置のものだ。 「しゃら?」 すぐに屋敷をハート形のモニターに映し出す。アップにすると、そこにはワルターを吊るしているお子達の姿があった。 「ああーーー! ワルター様が! あの子たち・・・・! ワルター様、今お助けしますわ!」 ハートのアップリケのついたエプロンを翻し、ウサリンは砂浜から再び飛び立った。 ワルターが上を向いて辛うじて動く左手でサインを送ってくる。 「よし、もう少しだ」 タクヤの上に影が差した。 「う?」 そのまま宙に引っ張られる。 「うわーーーー!」 ウサリンが毛糸屑のように、ロープを片手で持ち上げていた。ワルターが泣き声をあげる。 「げ、シャランラ」 「もう皆やれちまったのか?」 「頼りになんないの」 「ったく、親玉の顔が見たいぜ」 「それは私だ!」 「あら、こんな顔」 顔をくっつけてくるワルターをタクヤはしげしげと見てやった。 「ワルター様〜v」 「「「「げっ」」」」 「ワルター様、今お助けしますわ」 笑っているように見えるウサリンが、恐い・・・・。 「た、助けんでいい、シャランラ!」 「でもその前に。この裏切り者の悪い子たちに、おしおきよ〜〜〜!」 ウサリンが片手を振り上げる。殴るつもりなのだ。ギアで。 「うわーーーーっ!」 『主ーーーーっ!』 ドランが間一髪でタクヤたち四人を攫い、車に変形した。 「あん!」 『主よ、無事か?』 「ドラン!」 車内で四人はホッと息を吐く。 「ワルター様、お待ちになって! しゃら?」 追いかけようとするウサリンの前に、シルバリオンとアドベンジャーが立ちはだかった。 『ここから先は、一歩も通さん!』 「なんですってえ?! 人の恋路を邪魔するヤツは・・・・ウサギに蹴られて死んじまえですわ〜〜〜〜!」 ドランはそのまま海へと入った。このまま日本に向かうのだ。 「急げドラン! 私の地球がピンチなのだ」 「悪太! 敵のくせにドランに命令すんなよ!」 「ふん。いずれは私のものになる」 さっき一瞬見せた殊勝な態度は何処へやら。タクヤは拳を振るわせ、ワルターの襟首に当たる包帯を引っ掴んだ。 「く〜〜〜〜〜〜! もうガマンできねーーーーっ! こいつを放り出しちまおうぜ!」 「ええーー?!」 「おう!」 カズキはドランのドアを開けようと手を伸ばす。 「ちょ、ちょっと二人とも!」 ダイはワルターと二人の間に入ったが、遅かった。逃れようとするワルターを二人が手を伸ばし、噛み付くわ蹴飛ばすわ殴るわの大騒ぎだ。ダイはワルターの手を掴むと、後部座席に引っ張り込もうとする。 「いーたたたた!」 「ダメだってば〜!」 「このやろ!」 「このっ!」 『いい加減にしないか!』 自分の中で繰り広げられる騒動に、温厚に黙っていたドランが怒鳴る。 『今は争っている時ではない!』 衛星軌道上では、最終兵器の制御装置が次々と解除されていっていた。 屋敷を囲む森では、シルバリオンとアドベンジャーが、苦戦していた。 『くそう、なんという火力だ!』 『来るぞ!』 キャロビットは一つ一つが小さい上、チームワークの取れた攻撃をしてくるので、小回りの利かない勇者たちには不利なのだ。 「そこよ〜〜〜〜!」 シャランラの掛け声一つで、キャロビットがシルバリオンに集中する。 『うわ!』 『シルバリオン! うわ!』 二人の勇者は、赤くぷちぷちしたものが敷き詰められているトリモチのようなものに叩き落された。 『こ、これは・・・・』 『う、動けん!』 「フフフフ・・・・それはわたしが愛をこめて作ったチェリーパイですわ」 砂糖のネバネバらしい。後でまた主に掃除してもらわなければいけないだろう。 「当分の間、そうしてらっしゃい」 シャランラは笑い声を残して、ドランを追いかけた。 ドランは休む事無く走り通した。途中で後退したカーネルから通信が入った。日本で先に待っているという。 「陸が見えてきたぞ!」 「日本だ!」 「あと三十分。まだ間に合うぞ!」 「頑張れ、ドラン!」 『?!』 「ワルター様〜〜〜〜!」 「げっ、シャランラ!」 「ドラン、早く!」 「お待ちになってえ〜〜〜〜!」 無邪気なシャランラの声が恐い。キャロビットがドランに光の格子を浴びせ掛ける。必死に逃げるドランだが、集中砲火を喰らって一時的に意識が飛んだ。四人は車外に放り出される。 「たーすけてくれ〜〜〜〜ごぼ」 包帯やギブスで泳げないワルターを、三人がかりで海面まで引っ張り上げる。 「ぷはーーー」 「げほっ、げほっ・・・・」 「ワルター様〜」 まるで地獄からの呼び声に聞こえるシャランラの悪意のない声に、海水の所為だけでなく背筋が凍る。 「へ? うわーーーー!」 そのまま金メダリストもかくやというスピードで陸に向かって泳ぎ始めた。 主の声が聞こえたような気のしたドランは、海中で意識を取り戻した。 『はっ、主! チェーーンジ!』 人型になると、バーニヤを吹かせて一気に浮上する。 「ワルター様〜」 海上に飛び出したドランは、主たちを追いかけるウサリンに蹴りを入れた。 「ドラン!」 『ここは私が食い止める。主は早く!』 「邪魔しないでよっ!」 『うわー!』 ウサリンに殴り返されたドランはゴルゴンを呼んだ。シャランラがワルターたちに気を取られている隙に合体し、再びウサリンの前に立ちはだかる。 「邪魔しないでって言ってるでしょ!」 『スーパー竜牙剣!』 再び差し向けられたキャロビットを、ドランは居あい抜きで斬り捨てた。 「あー! ひっどーい!」 『さあ、来い!』 主の遠ざかっていくのを確認しつつ、刀を正眼に構える。 そしてタクヤたちは、なんとか陸に辿り着いた。肺が破れそうで、腕も満足に上がらない。三人がかりとはいえ、大人一人を支えて泳ぐのはきつい。 「ぜい、ぜい・・・・」 「はあ・・・・後何分だ?」 「十五分だ」 カズキが腕につけている完全防水のスポーツウオッチを見る。ダイは今日何度目か知れない絶望感に襲われた。 「もう、ダメだ・・・・」 「若〜〜〜〜!」 そこへ、こちらも息を切らせたカーネルが、小脇に何かを抱えて走ってきた。 「若君ー!」 目を回していたワルターも正気に返る。カーネルは抱えていたノートパソコンを砂浜に下ろした。 「コンピューターの端末です。早く中止命令を!」 「気が利くぜ、じーさん!」 「若、早く!」 「うん」 開いて見えるのは普通のキーボードや液晶画面ではない。マイクと掌紋確認のパネルがついている。ワルターは手早く、パスワード入力用のアルファベットだけしかないキーを叩いた。 『一刀両断斬りーーーーっ!』 「シャランラ、負けない!」 ウサリンはピコピコハンマーを取り出し、スーパー竜牙剣と火花を散らす。 『し、信じられん。このロボットの何処にこんな力がっ・・・・』 「教えてあげるわ。この世で一番強いもの。それは・・・・ 愛よ!!」 『掌紋確認・・・・暗号こーどヲ入力シテクダサイ』 「納豆アイスストロベリー味」 『ブブー!』 掠れたワルターの声に、ERRORメッセージが表示される。 「え?」 「若君、そのお声は・・・・!」 「塩水で喉をやられたんだ!」 「何だとーーー?!」 「もう!」 驚愕のゴルドランの隙をつき、ウサリンはピコピコハンマーでゴルドランをメッタ打ちにした。ピコピコという軽い音とは裏腹に、ゴルドランは踏ん張ることもできずに海に落とされる。 『ああっ!』 「誰も私の愛を止められなくってよ!」 シャランラの自信に満ちた声が、無人の海を貫いた。 「あ、あ〜、あーーー」 カーネルが常備している紅茶のポットで喉を湿らせたワルターは、塩で痛む喉を抑えて声を絞りだした。カズキが急かす。 「あと三十秒、急いで!」 「あ〜・・・・。 よし、大丈夫だ。『納豆アイス・・・』」 「ワルター様〜v」 「ええ?!」 甘ったるい声に全員の背筋が凍る。 「ワルター様v」 ウサリンがスピードを緩めずに突進してきた。 「うわ〜〜〜〜〜?!」 恐怖の余り端末を残して散り散りになったのがいけなかった。何も知らないシャランラは、最後の光明を無残に踏み潰した。 「「「「あっ!」」」」 同時刻、最終兵器が発射される。 ようやっと海上に顔を見せたゴルドランは、宇宙から降りてくる熱量を感知した。 『お、遅かったか!』 最終兵器は大気圏に入ったのだろう。摩擦熱の発する光が、夕暮れの中、まるで流れ星のように見えた。 「綺麗な光だ・・・・」 「ああ・・・・」 「本当・・・・・」 お子達は疲れ切った体で立ち上がり、無心にその光に見入った。 「お終いじゃ・・・・何もかも・・・・・」 『まだ諦めるのは早いでござる!』 ゴルドシーバーから今まで居なかった声がする。 「空影?」 ゴルドランは上空に現れた空影を見上げた。焦っているのはゴルドランにも感じられる。 『空影! そうだ、まだ間に合うかもしれん!』 『ゴルドラン、大空合体でござる!』 空影が体を変形させ、ゴルドランの背中にジョイントする。 『大空合体 スカーイゴルドラーン!』 『行くぞ!』 スカイゴルドランは、宇宙に向かって飛び出した。 『何処を狙えば良いのだ?』 『拙者に任せられい!』 ゴルドランの目を通して送られてくる映像を、空影のセンサーがフル稼働で解析する。最終兵器は爆発物の詰め込まれた弾頭部分と、移動制御をするエンジン部分が完全に別個になっていた。 『弾頭部分を切り離すでござる!』 『心得た!』 空影の見せてくれた接合部分を狙い、刀を一閃する。 エンジン部はそのまま大気圏の摩擦熱に耐え切れずに燃え尽き、背後からの運動エネルギーを失った弾頭部分は、幾つもの空気の層に進路を変更させられ、地表に辿り付くことなく爆発した。 「ああ!」 その光を見たお子達の顔に生気が戻る。 「スカイゴルドランだ! スカイゴルドランが最終兵器を!」 「俺たち、助かったんだ!」 「地球は、救われた!」 やったー! と抱き合って喜ぶお子達の横で、カーネルも気が抜けてへなへなと砂の上に座り込む。 「ふう・・・・ようございましたな、若君」 返事がない。 「あれ? 若君? 若君!」 何処を探してもワルターは見当たらない。何故なら。 「爺〜〜! 爺よ〜〜〜〜」 ウサリンの中でシャランラに抱きつかれ、再びスイートハネムーン島に強制送還されていたからだ。 「さあ、ワルター様。わたしたちの島へ帰りましょv」 「助けてくれ〜〜〜〜〜!!」 その後、ワルターの行方を知る者はいなかった・・・・。 |
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