The Brave of Gold GOLDRAN




 『む、無茶なこと言わないでください!』
 宇宙を走るアドベンジャーが、悲鳴とも落胆ともつかない声をあげた。 いや、むしろ「疲れた」と形容したほうがいいかもしれない。
「なーんでー? 途中の星サクサク飛ばしてレジェンドラまで一気に・・・・」
『そんなことはできません!』
 がんとして譲らないアドベンジャー。
「堅いことゆーなよ!」
「無理さ。なんてったって『鋼鉄武装 アドベンジャー』だからな」
 頭も体も堅いんだよと、カズキが言う。
『主だって冒険したいといつも歌っているでしょう』
「♪冒険がは〜じまる ドキドキ〜がはじ〜まる〜♪ってか?」
「ああ! あと1ページしかないや・・・・」
 会話に参加せず、一人黙々と何か作業をしていたダイが、落胆の声をあげた。
「は?」
「何、それ?」
「そういや、いつもコソコソ書いてるけど・・・・」
 己の失言に気づき、ダイはしまったと手元のノートを背中に隠した。
「な、なんでもないよ!」
「「見ーせーてーよ〜〜〜」」
 ドランは冷や汗をかいた。こうなると続きはアレしかない。
「それっ!」
 二人がかりでダイに襲い掛かる。
「や、やややややめて!」
「いいだろ!」
「いいじゃねーかよ!」
「ちょっとだけだ!」
「あ!」
 乱闘の末、とうとう隠したノートを奪われてしまう。
「返して〜〜〜〜!」
 もがくダイをカズキが後ろから羽交い絞めにする。
「読めよタクヤ! 読んじゃえ!」
「ああ〜〜〜それだけは、それだけは〜〜〜〜〜!!」
 予想通りの展開に、ドランは更に冷や汗をかく。
「なになに・・・『愛しのタマミちゃん、君を置いて宇宙へ旅立つ僕を許しておくれ・・・』」
「そんなこと書いてないでしょーが!」
 顔を真っ赤にして否定するが、無駄な足掻きというか返って肯定しているというか。
「そうか、ダイは二組のタマミのことがねえ・・・・」
 隣りの二組にいるタマミちゃんはかなりの美少女だ。トレードマークの両脇で纏められた髪が可愛らしい。
「あいつ、彼氏いるのに」
「ええっ?!」
 悲嘆にくれるダイの表情から、淡い片思い(おそらく)はコンマ以下で破れてしまった。 タクヤはその間にもダイの丁寧な筆跡を辿る。
「こりゃあすげえ。ドランとの旅の日記じゃんか」
『旅の、日記・・・・?』
 いきなり名前を出されてドランは少々驚いた。ダイはもう立ち直ってドランを優しい目で振り返る。
「うん。いい思い出になると思って」
 もとから日記をつけていたのだが、アジプトから帰ってきてから、ドランたちと過ごしている間のものだけは別にノートを取り始めたのだ。
「これ、体験記にしたら売れるぜ〜」
 アコギなタクヤは他人の思い出を勝手に売り出そうとたくらむ。
「そりゃいいや!」
 カズキも同調してしまった。
「印税は三等分だぜ?」
 ダイが苦笑していると、突然アドベンジャーが上ずった声を上げた。
『主よ!』
「ほえ? どうした、アドベンジャー」
「おまえも印税欲しいのか?」
 カズキは珍しく論点がずれている。
『い、いえ・・・次の惑星が見えてきたのですが・・・・』
 モニターに映し出されたその惑星には、アルテロイドベルトの塊が惑星の名前を形成していた。 『レジェンドラ』と。普通、惑星の表面にその星の名前なんぞ書いてあるだろうか。しかも遠く離れた宇宙にいるのに日本語で。 頭の中でどうにもツッコミしようという本能と、その惑星の名前の意味という情報が処理しきれず、思わず片目を隠して確かめてしまう。
「レ」
「ジェ」
「ン」
「ド」
「ラ」
「なるほど」
「レジェンドラねえ〜」
 視力検査が終わって、くつろいだ姿勢で改めてその惑星を眺める。
「・・・・・・」
「「「なあにいいい〜〜〜〜〜?!」」」
 ショックのあまり、自分たちのキャラクターを忘れて劇画調になってしまった。
「「「レジェンドラあ〜〜〜〜〜〜〜?!?!?!?」」」



さらば黄金勇者――レジェンドラよ永遠に――






 レジェンドラは浮遊大陸のようなものが幾つも浮かんでいる惑星だった。 王都のある浮遊大陸は黄金郷の名に相応しいもので、古代の都市国家を思わせる町並みの建造物は全て金で出来ており、大勢の人が豊かに暮らしている。 大陸の中央には巨大な黄金宮殿が聳え立っていた。『レジェンドラ』のアステロイドベルトの横を通り、雲を抜けてアドベンジャーの雄姿がレジェンドラの大気圏に入ると、徐々に歓声が聞こえてきた。 紙吹雪が舞い、黄金宮殿まで導くように花が大通りを埋めている。降下していくアドベンジャーの中からは、高層建築の家々の窓から手を振る人々の姿が見えた。 “歓迎! レジェンドラ”という相変わらず日本語の垂れ幕をくぐって、着地したアドベンジャーは大通りをゆっくりと走っていた。 その上に立って、タクヤたちやドランたちは人々の大歓迎と賞賛の声に手を振った。
「イエ〜イ! 勇者だよん! 清き一票をヨロシク〜!」
「選挙じゃねえぞ」
 ここまで来てもおチャラけているタクヤに、カズキが苦笑混じりの合いの手を入れる。だが、舞い上がっているのはカズキも一緒だ。
「ついに来たんだね、僕たち」
「来たんだな、オイラたち」
 タクヤは込み上げる笑顔を抑えきれきれず、ドランを見上げた。
「ドラン、ここがレジェンドラなんだな?」
『ああ。ついに、ついに帰ってきた・・・・我々の故郷、レジェンドラに・・・・!』
 ドランは大きく頷いて見せると、金色の町並みに郷愁の念を向けた。
 勇者たちの胸像が奉られた黄金宮殿の式典広場には、既に人々が大勢詰め掛けていた。 勇者たちは姿勢を正し、一列にタクヤたちの背後に直立不動の姿勢で立っていた。 右から空影、レオン、ドラン、ジェットシルバー、スターシルバー、ドリルシルバー、ファイヤーシルバー、そしてその後にアドベンジャーが、整列している。 彼らの本来の主、レジェンドラ王を待つ為に。
 久々に『気をつけ』をしたタクヤたちはカチコチに固まり、とんでもない緊張具合だった。 互いに視線も合わせられずに、王の出てくる予定のバルコニーを見上げている。
「何か・・・キンチョーするね・・・・」
「学校で、非常ベル押して、朝礼の時、全校生徒の前で立たされてるってカンジ」
「慌ててトイレに入って、大きいのし終わって「あー、さっぱりした〜」と思ったら女子トイレだったのに気づいて、女の子が入ってきて、出るに出れない時の緊張感に似てるぜ」
 カズキのはわからないでもないが、タクヤの例えはさっぱりわからない。
 ファンファーレが鳴ると、ドランたちは右手を左胸に当て、右膝を地につけて礼をとった。 これが彼らの身体に身についた、最敬礼だ。黄金のバルコニーにレジェンドラ王が奥の暗がりから現れた。 金糸で刺繍のされた赤のローブと冠を身につけ、長い灰色の髪と口髭を蓄えた、壮年になりかけの立派な男性だった。 レジェンドラ王は冒険者たちに労いの言葉をかけた。
「勇者たちよ、ご苦労であった。そして少年たちよ、良くぞ来た。この冒険で得た経験が、君たちの心の幹となり、これからの人生に立派に枝葉を伸ばすであろう」
 太く力強い声は冒険者たちだけでなく、周りの人間にも感銘を与えた。
「レジェンドラばんざーい! 勇者ばんざーい!」
「ほんと・・・・」
「色々あったよなあ・・・・」
 ダイとカズキの感動の呟き、タクヤたちはそれぞれ最も辛かった戦いを思い出す。
「昆虫帝国での必死の戦い」
「ガリバー惑星の巨大サラリーマン」
「着ぐるみ村で、迷子になったりもしたね」
『そんな思い出あっただろうか?』
 冒険のデータを洗ってドランは首を傾げた。上からとうとうと流れる、レジェンドラ王の演説も聞かずに。
 式典が着々と進む中、タクヤはあるものが足りないことに気がついた。しばらく待っても出てこないので、両手を胸の前で組んで、お得意のお涙頂戴攻撃でおねだりしてみる。
「王様! 一つお尋ねしちゃうけど」
「なんじゃ」
「オイラたち命がけで来たんだよ? 宝物とかくれないの?」
「この冒険で得た、友情、努力、勝利こそが、何物にも勝る宝物じゃよ」
 王様は手強かった。キラキラ三段スライド反撃を受けた敗北感に、タクヤはそのままルーと涙を流す。
「やれやれ、お決まりのセリフだな」
「タクヤ君のクサイ芝居も通じないないとは・・・・」
 やがて式典も終わり、勇者たちは立ち上がって民衆の歓声に応えた。タクヤたちも気を取り直して手を振った。
「レジェンドラばんざーい! 勇者ばんざーい! 」
「レジェンドラばんざーい! 勇者ばんざーい! 」
「レジェンドラばんざーい! 勇者ばんざーい! 」
 感慨にふけるドランは、ふと足元で調子に乗って歓声に応えている仮の主たちを見た。
 そう、彼らは仮の主なのだ。レジェンドラ王を前にしては。彼らの本来の使命は、レジェンドラを守ること。 そこに辿り着いた今、彼らとは、もう・・・・・。



 夜の帳が下りると、熱狂的な空気も大分冷めた。タクヤたちは賓客用の棟に移動し、ドランたちはそのまま広場でくつろいでいた。 さっきまで観客のいたコロオッセオのような外壁に好き勝手に腰をかけ、三日月を眺めていた。
『ついに、レジェンドラに到着したんだなあ・・・・』
 街の明かりを眺めてアドベンジャーが感慨深く呟いた。今になってようやく実感がわいてくる。
『色々ありましたなあ・・・・』
『主たちには、ヒヤヒヤさせられっぱなしだったよなあ』
『主人公だからって、無茶しすぎだよね〜』
 ドリルシルバー、スターシルバー、ファイヤーシルバーも、道中の主たちの暴走っぷりを思い出していた。
『しかし、出会えたのが主たちで良かったと思っている。私は、主たちを誇りに思っている』
 誰とも目を合わせないドランの言葉は、誰の胸中にも当てはまった。
『レジェンドラに到着した今、この先我々は・・・・』
『ふっ、知れたことよ・・・・』
 珍しく感傷的な声色の空影に、レオンも主を思い出して寂しく俯いた。
『我々はレジェンドラ王に従わなければいけない』
『そう、パワーストーンに戻らねば』
 主の我がままを散々聞いてきて、ようやく開放されるアドベンジャーも、ジェットシルバーも。
『あれは、肩が凝るので苦手であります』
 ドリルシルバーは彼なりに笑いを誘おうと、肩をぐりぐり回して見せる。
『パワーストーンに戻れば、私たちは主たちの記憶を失ってしまう。とても残念な気持ちだ』
『我々の心から消えても、主たちの心に残れば、それでいい』
 アドベンジャーは膝を抱えるような姿勢でそう言った。
『そうだな』
 ドランはできるだけ重い空気を振り払うように声音を変えた。
『そろそろ時間だ。主たちには、挨拶なしで行こう』



 それより少し前。『黄金の間』に用意された晩餐の席についたお子達は、片っ端から料理を平らげていた。
「あ〜、働いた後のメシは美味いなあ、母さんや」
「いやですよ、お父さん。そんなにがっついて・・・・って、何で俺が母さんなんだよ!」
 漫才をしながら夢中になって食事をしているタクヤとカズキの側から、ダイは微笑してそっと席を立つ。
「にしても、凄い食いっぷりだなあ。この分じゃ、この歓迎の料理、おまえ一人で全部食っちまいそうだ」
 端が霞んで見えるほどの大広間と長テーブルには、延々と豪華な料理が並んでいる。まだ十分の一も食べていない。 ただし、周りには給仕のものも誰もいなかった。皿の一つを片付けたタクヤはやっと顔をあげた。
「あれ? ダイは?」
「トイレにでも行ったんじゃねえか?」

「たらりらったった〜♪」
 ダイが行ったのはトイレではなかった。モップを片手に黄金の廊下を鼻歌混じりにスキップしている。
「たらりらったった〜♪ たらりらったった〜♪
 前みたいにドランたちを洗ってあげよう!
 ・・・・喜んでくれるかな? 喜んでくれるよね?」
 自問自答して再びスキップ。ここまでハイなダイはタクヤもカズキも見たことがないかも知れない。
「たらりらったった〜♪ たらりらったった〜♪
 冒険の最後に感謝の気持ちをこめて洗ってあげよう!
 ・・・・喜んでくれるよね? 喜んでくれるよねったら!
 たらりらったった〜♪ たらりらっ・・・・うん?」
 金の桟で縁取られた、切り取り窓の外から聞き慣れた車輪の音がする。 慌てて窓に駆け寄って下の大通りを見ると、アドベンジャーたちが走っていた。
「ど、ドランたち・・・・? 何処行くんだろ?」
「少年よ」
「あ、王様」
 廊下の反対側から、先ほど別れたレジェンドラ王が静かにダイに歩みよってきた。
「彼らは旅を追え、その使命を果たして本来の姿に戻るのだ」
「えっ・・・・?」
 大通りは、宮殿とは街の反対側に作られている神殿とを繋いでいる。神殿で本来の姿に戻るとはどういうことか。 ダイは改めて遠くなっていくアドベンジャーたちの姿を目で追う。
『ありがとう、主たち・・・・』
 そんな言葉が聞こえたような気がする。ダイの目頭が熱くなった。
「どうしたんだ? ダイ」
「おまえの好きな、焼きちくわもあるのに」
 あまり長い間戻らないダイを探して、カズキとタクヤが姿を見せた。背を向けたままのダイの手から、モップが滑り落ちる。
「え?」
 カララ・・・と響く空しい音に、タクヤたちは初めてレジェンドラ王がいるのに気がついた。
「レジェンドラ王・・・・」
「何やってんだろ?」
 レジェンドラ王がダイの気に障ることでも言ったのだろうか。近寄って声をかけようとした時、ダイの嗚咽が聞こえた。
「ううっ・・・・・」
 ダイは一瞬だけタクヤたちに泣き顔を見せると、そのまま逃げるように駆け出した。
「うわああああああーーーーーっ!!!」
「どうしたんだ、ダイ!」
「ダイ・・・・」
 ダイは宮殿の外に出る階段を駆け下りた。
「そんなのやだーーーー!! ひどいよ、挨拶もなしにお別れなんてっ・・・・!
 せめて、せめて皆に、ありがとう・・・・ありがとうって・・・・」
 大通りに下りても、もう彼らの姿は見えない。神殿が一瞬光ったかと思うと、花火のように八本の光が天に昇った。 それはただの光の塊に過ぎないかもしれない。それでもダイには、どれがドランでレオンか、空影やアドベンジャー、シルバーナイツの区別がはっきりついた。
「あ、あれは・・・・ドラン・・・・?」
 ダイを追いかけてきたタクヤとカズキも、尾を引く光に愕然とする。
「アドベンジャー、レオン!」
「シルバーナイツ、空影!」
「あいつら・・・・」
 突然だった。本当に突然で、それでもわかっていたことだった。
「かっこつけやがって・・・・」
 何処までも何処までも上っていく彼ら勇者は、ずっと笑みをたたえていた。 笑って別れることが彼らの望みだと、タクヤたちもわかっている。わかっているから、笑いながら泣いた。光がパワーストーンの形を成したように見えても。
「みんな・・・・」
「忘れ、ないからな・・・・」
「絶対忘れない。大人になっても。
 ありがとう、黄金勇者!」
 ダイたちは涙を拭けないまま、空に上がっていく光を見つめ続けた。




 通常は祝砲をあげる為の鐘楼から、本日の仕事を任されていた兵士は双眼鏡から目を話した。 八つの大砲からは煙が上がっている。
「勇者は天に召されました。ポエムやねえ。メルヘンやねえ」
 兵士は消えた光の残像に、肩をすくめる。
「じょ、上空に、謎のエネルギー反応が。例の、光のレールかと」
 観測モニターを見ていた兵士が上官に伝える。
「す、すぐに王様に連絡を!」
 勇者たちの消えた神殿とは反対側、すなわち宮殿の上空には、確かに光のレールが見えた。
「光のレール、黄金の勇者。本当にンなもんが存在したとは。あ〜らもう、びっくし!」
 三日月の下には確かに、光のレールが出現していた。





『さっきの花火、Wonderfulだったよね〜』
 と、呑気な声を出しているのは救急車に変形したファイヤーシルバー。呑気な声を出したからと言ってしんみりした気分が晴れるわけでもない。
『呑気な野郎だぜ。これからオレたち、パワーストーンになっちまうっていうのによ』
 タクヤたちとは挨拶なしで別れようと思ってはいるのだが、レジェンドラ王からの連絡がないため、まだ広場で待機していたのである。
 せっかく覚悟を決めたのに、このままではその覚悟が薄れてしまいそうだ。ドランは愛しむように、自分の中の主の匂いを吸った。
『お、これは・・・・?』
 ダッシュボードから出てきたのは、ダイの日記だ。他にもお菓子やらタオルやらがいっぱい詰まっている。
『旅の日記・・・・こんな所に置き忘れるなんて・・・主たちに届けなければ』
 渡すときの気鬱に天を仰ぐと、なんとそこには光のレールが!
『?!』
 誰もが絶句した。
『ひ、光のレールでござる!』
『バカな! ここはレジェンドラ! 終着地のはず!』
『しかし、あれは確かに・・・・!』
 目を疑うドリルシルバーに、ジェットシルバーが強張った声を出した。
『レジェンドラへの光のレール!』
 アドベンジャーが太鼓判を押す。何度もあの上を走っているのだ、間違いない。
『これは一体どういうことなのだ?!』
 レオンでさえもパニックになる。
『まさか!』
 主の身に何かあるのではとドランは人型になった。その瞬間。彼らを奉っている胸像が壊れ、中からライトのようなものが現れた。
『こ、これは!』
 そこから照射されたビームがドーム状の電磁バリアを形成し、勇者たちを拘束する。
『うわああああっ!!』
 体高が上がったおかげでビームに弾き飛ばされたドランと、咄嗟に飛び退いた空影だけが助かった。
『待ってろ! 今助ける!』
 ドランは空影の背に飛び乗り、竜牙剣の柄に手をかけた。それをアドベンジャーが制止する。
『わ、我々のことより、光のレールを!』
『し、しかし!』
『今は一刻を争う時! ご免!』
 空影はドランを背に乗せ、主のもとへ急いだ。


 黄金の街並みが剥がれる。建物を包み込んでいた黄金色のベニヤ板がバラバラに分解され、ヒョウタンの側面に穴を開けたような建造物が顔を出し、金色の街並みを黒く染めていった。 黄金の浮遊大陸がその外壁を脱ぎ捨てていった。
「ふっはっはっはっはっはっは・・・・・! そう、ここはレジェンドラではない。
    『光の道を通り現れる勇者は、黄金郷レジェンドラを目指す。』
 我が王家に伝わる伝説が本当だったとはな・・・・ふっふっふ・・・・。ここからは私が勇者の権利をいただき、本当のレジェンドラを目指すのだ!」
 レジェンドラ王(偽)の顔がめくりあがり、下から黄土色の肌が覗いた。部屋の中には、アカンベーをするハニワの置物があった。


 地球に帰る手段もなくなったことも忘れ、タクヤたちは俯いてトボトボと歩いていた。 夜でも黄金の街は変わらない。星明りを受けて金色に輝いている。幾つかの店はまだ開いていた。
「確かに、考えてもみなかったな・・・・」
 ジャケットのポケットに手を突っ込み、タクヤがぽつりと沈んだ声を漏らす。
「レジェンドラに着いた後のことなんか・・・・」
「ぐすっ・・・・こんなことなら・・・レジェンドラになんか来なければ・・・・」
ギギッ・・・・
 木のしなるようなくぐもった音が辺りから響き、不信に思って顔をあげた途端。
バタン!
 黄金の街の壁が、倒れた。連鎖的にバタバタと。金色のペンキを塗った板が倒れ、下から出てきたのは土偶のようなくびれを持った素焼きの高層建築。
「?!」
 木の板の裏側にはつっかえ棒。・・・つまりオープンセット?
「な、なっ・・・な・・・・・」
「「「なんだあ〜〜〜〜〜〜〜?!」」」
 そのあまりの逆転っぷりに、再び劇画調になってしまう。
「ここは何処だ〜〜〜〜?!」
「レジェンドラじゃないのか?!」
「バーカこくでねえ。ここはソドラっつー国じゃて」
 饅頭屋の婆さんはビリビリと顔を剥ぐ。下から出てきたのは薄い黄土色の色素を持った、陶器のように固そうな肌。 手には一本の指もなく、関節のない割りによく曲がる腕。体には全く凹凸が見られず、腰から下は足が無い。 その代わりといっては何だが、胴より太い一本の軸がニョッキリ生えており、それが足代わり。
「ソドラ〜きイモ〜」
 歩くときはヘビのように移動しているらしい。多分。 細い首に支えられた大きな顔の輪郭はやや楕円が入った円形で、輪っかを申し訳程度に顔の側面にくっつけた耳。そして顔の中心には、目と口に相当する位置に三つの空洞が空いている。
「ソドラ?!」
「名物、ソドラ饅頭食わんか?」
 婆さんの差し出した饅頭も目に入らず、お子達は来るときに見た日本語の『レジェンドラ』を思い起こしていた。
「じゃあ、この国は・・・・」
 『歓迎! レジェンドラ』の垂れ幕から、『レジェ』の文字がはがれ、本来の『ようこそ』という本来の文字が顔を出す。
「レジェンドラじゃなくて・・・・」
 衛星軌道上では『レジェンドラ』の文字が、街並みと同様に崩れていく。
「レジェンドラじゃなくて!」
『ン』が『ソ』に。
「「「ソドラ国〜〜〜〜〜〜〜?!」」」
 宇宙で日本語に出会った時点で気づけ。
『主よーーーーー!!』
 驚愕のあまり固まってしまったタクヤたちの真上から、懐かしい声がした。 空影に乗っていたドランが飛び降り、着地する。
「あ、ドラン!」
「無事だったんだね!」
『大変だ! アドベンジャーたちが敵の手に! そして、レジェンドラへの光のレールが!』
 ドランの指差す天上には、紛れもなく光のレールが現れていた。
「「「ええーーー?!」」」
「くっそーーーー! 純真な子供を騙しやがって!!」
「ふてえ野郎だ! 訴えてやる!!」
 怒りに体を震わせるタクヤとカズキを、ダイが押し留めた。
「そんなこと言ってる場合じゃないよ! 皆を助けなきゃ!」
「あ、そう・・・そうだな・・・・」
 ダイの剣幕に思わずタクヤとカズキは仰け反った。必死の声に頭に上っていた血が下がる。ダイがドランを振り返る。
「ドラン、すぐに皆を!」
『し、しかし! 光のレールが・・・!』
「なーっはっはっはっはっはっは・・・・!!」
 突如辺りに能天気な笑い声が響き渡る。心当たりのある声に空を見上げると、そこには予想通り鮫戦艦が浮かんでいた。
「悪太!」
「じゃなくて」
「イーザック船長!」
「皆まで言うな! 早く光のレールへ! おまえたちの仲間は、このイーター・イーザックが助ける!」
 歯をキラリと光らせたところ、背後からカーネルが顔を出した。
「私もお助けいたします!」
「シャランラもいるのですう」
 イーザックの声に被さる二人の声に、お子達は頭痛がしてきた。
「こら! 私がしゃべっているのに〜〜〜〜!」
「いやです、シャランラも喋るのですう〜!」
「僭越ながら私も・・・・」
「邪魔だ〜〜〜〜〜!」
 マイクの取り合いになっている中の惨状を思い浮かべ、頭痛が更に増した。収集がつかなくなりそうなので、キャプテンシャークは身を翻した。
『命に代えても、おまえたちの仲間は助けるぜ!』
「どっしぇ〜〜〜! キャプテンまで私より目立つんじゃなーーーい!」
「だーいじょーぶかなー・・・・?」
 脱力して騒々しい鮫を見送り、ぽつりとタクヤが漏らす。
『今は彼らを信じよう。
 空影!』
『うむ!』
 ドランは素早くゴルゴンを召喚し、空影と合体する。掌に主を乗せて飛び立とうとした時だった。
 何処からともなく、主たちの好きな軽快な音楽が聞こえた。一際強いライトが虚空を切り裂いている。 見ると、“ソドラ”のプレートを掲げた素焼きのSLがヘッドライトで力強く前方を照らし、煙をあげて街並みを後にゆっくり走り出している。 光のレールを進む素焼きのSLの窓枠に腰掛けた、人の仮面を脱ぎ捨てたソドラ王が楽しそうに唄を歌い始めた。
「♪冒険がは〜じまる ドキドキ〜がはじ〜まる〜♪」
 ドランたちの中で、何かが音を立てて切れた。
『たあーー!!』
ごすっ!!
 素焼きのアドベンジャーの真横にスカイゴルドランの拳が突き刺さる。
『勝手に冒険を始めるな!』
「は〜〜〜〜に〜〜〜〜〜?!」
 怒り心頭のスカイゴルドランは光のレールから転落し、素焼きの街に落下するソドラ王in偽アドベンジャーを鼻息も荒く見下ろしていた。 怒りが収まらないのはタクヤたちも一緒だ。スカイゴルドランが下ろしてくれた神殿の屋上で、落下した先の爆発を睨みつけている。
「オイラたちに代わってレジェンドラへ行こうなんて!」
「とんでもねえヤツだ!」
「冒険を愛する、穢れなき少年の心を傷つけるなんて!」
 ダイのセリフに、タクヤとカズキが目を細めてひく。
「おいおい・・・・」
「クサすぎるぜ」
「う、ん・・・」
 流石にちょっと顔を赤くして反省する。
「しかし、アドベンジャーのバッタモンまで造るとは・・・・」
 まだもうもうとあがる炎と煙の中から、何かが、出てきた。それは木馬に似ていた。
「よくも邪魔してくれおったな! このソドラ王、ホラフキーノ・ニマイジータ様の力を、見せてやるう!」
 ソドラ王は赤いローブを脱ぎ捨てた。
『あ、あれは・・・・!』
 木馬を更に開いて出てきたそれに、スカイゴルドランは目を見張る。素焼きの恐竜の足首が百八十度回転し、尻尾から腰にかけてが二つに分かれて細い腕をカバーし、肩ができる。 顎から胸の装甲が下にスライドして畳まれる。そして首と爪を折りたたんだ鳥が背中に・・・・。
「「「『なんと!』」」」
 そこに現れたのは、スカイゴルドランだった。顔がハニワでボディが素焼きでなければ、何処からどうみてもそっくりだ。
「ソドラ合体! ゴルソドラーン!!」
『まさか・・・・私の・・・・っ?!』
「そうなのであーる! 毎週毎週テレビを見て研究し、造り上げたゴルソドランだ! おまえを倒して、本物の勇者になってやる!」
 どこの放送局がTV中継なんか流していたのだろう。
『そうはさせん! くらえっ!』
 スカイゴルドランの砲門が一斉に火を吹いた。
「来なさーい!」
 ゴルソドランもランチャー、ショルダーバルカン、アームシューター、レッグバスターを一斉に発射する。
「負けるなー! スカイゴルドラン!」
「本物の意地を見せろ!!」
『どあああああ・・・!』
 中央で激突した互いの攻撃のは、お子達の姿を照らしていた。
『ぐおおおおおお・・・・!』
 拮抗状態から徐々にスカイゴルドランの方が押され気味に、そして遂に押し戻された。
『おああああああ・・・・!』  
地面に叩きつけられたスカイゴルドランを、目の前に降り立ったゴルソドラン(“スカイ”をつけた方がいいのかも?)の中から、ソドラ王が見下ろした。
「ふふふのふー! ムダだ。このゴルソドランは、おまえよりも22%(当社比)強く造ったのだ!」  ゴルソドランは自信たっぷりにピースサインをする。
『に、22%・・・・?!』
「22%だ!」
 ゴルソドランのアームシューターが再び光を放つ。

 宮殿広場についたキャプテンシャークは腹部についているスパイラルランチャーを発射し、電磁バリアを打ち破った。
『チェーンジ! 海賊戦艦キャプテンシャーク! 大丈夫か、皆』
 拘束から開放され、息をついたアドベンジャーたちは目の前に降り立ったキャプテンシャークを見上げる。
『お、おまえは・・・』
『キャプテンシャーク!』
『ありがとう、助かった!』
『何、礼には及ばんさ。それよりスカイゴルドランが・・・・お?』
 地響きに振り返ったキャプテンシャークは驚愕の表情で固まった。ぴしぴしとヒビの入った地面を割って現れたのは・・・・。
『な、何?!』
 フル武装で。
『こ、これは・・・・』
 ハニワ顔の。
『我々そっくりのロボット!』
『って言うのは、ちょっとおこがましいかな〜?』
 ファヤーシルバーは意外と冷静にツッコミを入れた。ニセモノに負けてなるかと、各々合体する。
『さあ、こい!』


『うおおおお・・・・!』
「はにっ、はにっ!」
 スーパー竜牙剣と、ソドラ竜牙剣が火花を散らした。折れないのがとても不思議だ。 だが、スカイゴルドランはパワーで押され気味だった。おまけにこちらよりも反応速度が速く、微妙な刃のずらし方をする。
「どうだ。剣の技でもおまえより22%強いぞ!」
『に、22%・・・・』
 スーパー竜牙剣の刀身にゴルソドランの姿が映る。
「汚ねーぞ、ハニワ野郎! マネばっかすんなー!!」
「オリジナリティがないぞ!」
「ははははは・・・・・! では、オリジナル技を見せてやる!」
 なんとかフルパワーで鍔迫り合いの拮抗状態に持ち込み、身動きの取れないスカイゴルドランをあざ笑うかのように、
「くらえ!」
 顔が出た。冗談抜きで、ゴルソドランのハニワ顔が飛び出てきた。
『うわーーー!』
 顔に突き飛ばされたスカイゴルドランは、バランスを崩してしまう。ソドラ王は地面に落下する前に追い討ちをかけた。
「もひとつ、どだーーー!」
 手足が伸びる。顔が飛び出し、ゴムのように伸び、スタンプを連打するようにスカイゴルドランを殴り、戻り、再び伸びて蹴りつける。
『うおおおおおおおっ・・・・!』
「負けるな! 同じ武器で戦え〜〜〜〜〜!」
 タクヤが無茶なことを叫んだ。
『こ、こんな武器は、私にはない! うわああああああ!!』


 アドベンジャーは似たような外見をした自分に弾き飛ばされた。 ゴッドシルバリオンはトライシールドを構える僅かな瞬間に槍を叩き込まれ、レオンカイザーはほんの僅かだけ『大成敗』の発射スピードが遅れた。
『だ、ダメだ・・・・勝てない・・・・』
『我々より22%強い気が・・・・』
 叩きのめされ、無表情のハニワ顔のまま不気味ににじりよるニセモノを見上げる。 あくまで影に徹しようと、それまで傍観していたキャプテンシャークが代わりにハニワ軍団の前に立ちはだかった。
「弱音を吐くな! 勇者は決してくじけないのだ!」
 イーザック船長の言葉に、カーネルとシャランラが彼を煽る。
「行くぞ、キャプテン!」
『オーケー、船長! スパイラルランチャー!』
「例えおまえたちが22%アップされていようとも! バッタモンである以上、オリジナルの新製品には敵わないのだーーーーー!」
『キャプテンソード!』
 スパイラルランチャーで足止めした所を、ばったばったと切り倒す。イーザック船長の言葉に、レオンカイザーが立ち上がった。
『そうだ! 我々はレジェンドラの勇者!』
 再びカイザージャベリンを構え、今度は自分よりも攻撃力の弱いゴッドソドラリオンに刃を向ける。
『何があろうとも、くじけはしない!』
 ゴッドシルバリオンは、自分よりも反応速度の遅いソドベンジャーにトライランサーを向けた。
『本物の違いを、見せてやる・・・・!』
 アドベンジャーは距離を置いて自分よりも火力で劣るソドンカイザーを砲撃した。
「ふっ、決まった・・・・」
「お見事!」
 勇者たちに自信を取り戻させたイーザック船長に、カーネルとシャランラが拍手を送る。
『ありがとう、キャプテンシャーク』
『礼には及ばん! 困った時のサメ頼みだ!』
 おそらくカッコ良いと思うことを言ったのであろうキャプテンシャークは、変形して去っていく。
『さらば!』
 しばし残されたレオンカイザーたちがその言葉を反芻している間に、キャプテンシャークの姿は見えなくなる。
『こ、困った時の・・・・』
『鮫頼み・・・・』
『外したな、キャプテンシャーク』


 伸びた顔と手足に突き飛ばされ、スカイゴルドランは建物をなぎ倒して地面に激突した。
「はっはっはっはっは・・・・勝てぬ勝てぬ。おまえは私に勝てないんだってば!」
 トドメといわんばかりに、ゴルソドランの胸、本物で言えばドランが変形して組み込まれている部分が左右に開き、中からそのボディにどうやって収まっているのか全く謎なほどの巨砲が出現した。
「やばい!」
「スカイゴルドランが!」
「立てーーーー! スカイゴルドラーーン!! やられるぞ!」
『う、うう・・・・』
「トドメだ!」
 砲身が鈍い光を反射する。発射間近の無防備な姿勢のゴルソドランは、不意に背中に衝撃を受けた。
「な、何?!」
 背後の宮殿の方を振り返ると、向こうから三体の勇者が飛んできているのが見えた。
「あれは・・・ゲゲッ! モノホンの勇者! どうしてここに?!」
『確かにそのパチモンは強い!』
『22%アップだからな!』
『しかし、我々が力を合わせれば!』
 アドベンジャー、ゴッドシルバリオン、レオンカイザーが拳を突き出す。
『『『おまえたちなど敵ではない!!!』』』
「げげっ!」
『私も健在だ!』
 立ち上がったスカイゴルドランも、驚いた拍子に砲身を仕舞ってしまったゴルソドランの背後を取る。
「そ、そんな・・・・」
 怯んだ隙を見逃さず、本当の主が合体命令を出す。
「よーし、グレートゴルドランに合体だ!」
 レオンカイザーが身体を分解し、スカイゴルドランにパーツとして合体する。
『黄金獣合体 グレートゴルドラン!』
「よ、よーし! こっちだってグレートゴルソドランに合体だ!
 来い、ソドンカイザー!」
 来ない。
「おーい、来いよ!」
 宮殿からは煙が。
「来てよ、ソドンカイザーったら〜〜〜〜!」
 壊れてます。
「いけえ! 本物の勇者の力を見せてやれ!」
『グレートアーチェリー!』
 グレートゴルドランは遠慮無しに黄金の矢を番えた。
『ゴルデンアロー・ファイナルシュート!!』
 光の矢は、ゴルソドランの決して光らないパワーストーン部分を直撃する。
「おのれ〜〜〜〜!」
 爆発したゴルソドランから首だけが切り離され、ソドラ王は光のレールの上に乗った。
「こうなったらこのままレジェンドラまで冒険の旅へ・・・・・げげっ?!」
 レールの両脇をゴッドシルバリオンとアドベンジャーが囲みを入れる。
「げげげげげっ?!」
『何処へ行く?』
 ハニワの首だけのゴルソドランが振り返ると、グレートゴルドランが睨みを効かせていた。
「えっ、あ、いや、あの・・・別に、その・・・・・」


 反省したらしいソドラ王は、壊れた宮殿の広場で彼らを見送ることにした。 ハニワ顔のくせに、服だけは人間の姿の時と同じだ。
「やはり君たちが本当の勇者だ。君たちの旅の安全を祈っとるぞ」
「ったく、調子のいい野郎だぜ・・・・!」
 拳を震わせ、今にも攻撃命令を出しそうなお子達の気概を殺ぐタイミングで、ソドラ王は何かを差し出した。世渡り上手な御仁である。
「あ、土産と言ってはなんだが、これを受け取るがよい」
「ほえ?」
 渡されたのは、ただの大学ノートだ。しかも一冊だけ。
「ノート?」
「間に金箔が挟んで・・・・」
「あるわきゃねーだろ」
 ペラペラと白紙のページをめくっていたダイが、次第に微笑み始める。
「ちょうど、日記帳がなくなるところだったんだ。これで、また旅の日記が書ける」
 その笑顔のまま背後に控えるドランたちを振り返った。
「これからもよろしくね、皆!」
『うむ』
 この笑顔には、頷くしかなかった。
 夜の闇を裂いて光のレールを進む一行を、ソドラ王は感慨深く見送った。
「元気でな、少年たちよ。勇者たちよ」
「王様! 大変です!」
「なんじゃ?」
 窓の外を眺めて返事をするその姿は、ハニワのくせに王の威厳を損なっていない。
「次の、次の勇者らしき船団が、こちらへやってきます!」
「何?! 次の勇者?!」
 変わり身の早いソドラ王は、一瞬にして人間バージョンに早変わりする。
「いよっしゃー! 今度こそ騙すぞ! いいな! 皆の者〜〜〜〜〜」
 惑星を取り巻く“ソドラ”の文字が、再び“レジェンドラ”へと組替えられる。
「お〜〜〜〜〜〜!」
 国民も大乗り気の返事を出した。



「シリアス様、前方にふざけた星があります。如何なさいますか?」
 シリアスは黙って親指を立てると、くいっと首の前で引いた。

「よくぞ来た勇者たちよ! 待っていたぞ〜〜〜〜!」
 ・・・・その後、ソドラ王の姿を見たものは・・・・いたりする。





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